「今後10年ウォッチしておくべき10の新規技術トレンド」

Maynard氏の2020 Scienceブログの12月25日のエントリは「今後10年ウォッチしておくべき10の新規技術トレンド」。新規リスクのない新規技術はないので、この先盛り上がりそうな新規技術をウォッチすることはすなわちこの先盛り上がりそうな新規リスク(社会的倫理的影響を含む)のウォッチにもつながる。

  1. ジオエンジニアリング
  2. スマートグリッド
  3. ラディカルマテリアルズ
  4. シンセティックバイオロジー
  5. パーソナルゲノミクス
  6. バイオインターフェイス
  7. データインターフェイス
  8. 太陽光発電
  9. ヌートロピクス
  10. 薬用化粧品

ラディカルマテリアルとは、原子・分子レベルでのコントロールを通じて、通常の材料よりもあらゆる特性(強度、軽量化、熱伝導性など)で上回る材料とのこと。もちろんカーボンナノチューブも含まれる。データインターフェイスは大量のデータとウェブを通して利用するためのテクノロジーで、例として、Wolfram Alpha、Bing、Six Sense projectなんかが挙げられている。太陽光発電としては2つの注目技術が挙げられている。印刷可能な太陽電池と太陽補助反応装置。ヌートロピクスとは、スマートドラッグ、すなわち頭の良くなる薬のこと。学生や研究者の間での利用が急速に広まっているとのこと(日本ではどうかな?)。面白いのは「ヌートロピクスを使わない方が非倫理的だ。だってそれってメンタル能力を社会のために最大限利用してないってことでしょ」という反応があるという話。薬用化粧品は"cosmeceutical"、つまり化粧品と医薬品を合わせた造語。化粧品はプラスアルファで、医薬品はマイナスからゼロに戻すという感じがする。法規制上も、医薬品はとても厳しいのに化粧品は緩い。でも、これって本当に区別すべきなのか?日本で今問題になっているのが食品と医薬品の境目。そしてナノテクノロジーはほぼすべての技術に関わっている。Maynard氏かこれからはナノテクノロジーというよりはこれらを追い掛けたいと考えているようだ。ちなみに、2日後、10のリストに加えて「スマートドラッグ」をどうしても追加したいというコメントが載った。
これらのリストはまさに今、テクノロジーアセスメントが必要な対象といってもよい。これらに付けくわえるとしたらどんなものがあるだろうか?Maynard氏の最初のリストにはこれらのほかに、電池、分散型コンピューティングバイオ燃料、幹細胞、クローン技術、人工知能、ロボティクス、地球低軌道飛行、クリーンテクノロジー神経科学、Memristor(回路素子)などが含まれていたそうだ。