農水省の「個別危害要因」の優先順位付け

松永和紀のアグリ話「食のリスクは俯瞰の視点で」に紹介されている農水省のリスク因子の優先順位付けの手続き.以下のような感じ.

  1. 2005年8月「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順(SOP)」を作成.ここに,リスク管理の手順を明記.
  2. リスクに関する意見交換の場として,農林水産省消費・安全局長の私的懇談会「リスク管理検討会」を開催.
  3. 2006年3月の第3回で「食品安全に関するリスクプロファイルシート」を39種類の対象について作成.それぞれについて,以下の5項目の点の合計として点数が付けられた.すべて,高い(H)=5,中程度(M)=3,低い(L)=1で評価される(詳細).リスクベースの観点として3つ,A) 危害要因の毒性(ハザード),B) 危害要因の含有実態(汚染実態),C) 曝露の推定(摂取量),さらに,関係者の関心度,国際的動向.この結果,例えば,米中カドミウムは(H + H + H + 4.3 + H = 24.3点)という非常に高い点数が付いて下のリストに入った.加工食品中のベンゼンは(H + L + L + 1.8 + M = 11.8点)というように低い.満点は25点.「関係者の関心度」は,関係者の採点の平均点だろうけど,これを入れるべきか,入れないべきかは難しいところだ.科学的見地からというなら入れないという手もあっただろうけど,国民の声を反映させるという意味で入れたのだと思う.
  4. その結果,2006年4月に「農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト」を公表.リスク管理を継続すべきもの12種類,リスク管理を継続すべきかどうか決めるための情報収集が必要なもの12種類.「かび毒」がそれぞれ5種類,4種類を占めている.物質ごとの詳細は「食品安全:個別危害要因への対応」ページでチェック.