行動規範を作ろうという動き

欧州委員会主催の"Debate on Governance Initiatives for the European Nanotechnology Community in the Public and Private Sectors"(公的および民間部門の欧州ナノテクコミュニティのためのガバナンス・イニシアティブについての議論)が,12月5日にブリュッセルで開催される(アジェンダ).提案されている2種類の「行動規範」を中心について議論される.
1つ目は,欧州委員会による"Towards a Code of Conduct for Responsible Nanosciences and Nanotechnologies Research"(責任あるナノサイエンスとナノテクノロジー研究のための行動指針に向けて)。欧州委員会による勧告という形を目指している。パブリックコンサルテーション期間は7月19日から9月17日だった。第4章の"Principles"(原則)には、"Precaution"(事前警戒)、"Inclusiveness"(公開と透明性)、"integrity"(誠実さ)の3つが挙げられ、続く第5章"Additional Elements"には"Better & Constant Vigilance"、"Realising Societal Benefits"、"Credibility and Trust"、"Protection of FundamentalRights"が列挙されている(参考:2007-07-20 欧州委員会が「行動規範」を提案)。
2つ目は、民間による"Responsible NanoCode"。これは2006年11月に、Royal Society(英国の独立科学アカデミー)とInsight Investment(英国のアセットマネジメント会社)とNanotechnology Industries Association (NIA)(英国ベースのナノテク業界団体)が開いたワークショップがきっかけに自発的な行動指針を作成しようということになった。現在提案されているドラフトのコンサルテーション締切は12月7日。キーワードだけ拾っておくと、「政府でなくガバナンス」「原則ベース」「遵守せよ、さもなくば説明を」。そして、7つの原則を提示し、それぞれに"Good Practice"の指標がいくつかずつ列挙されている。"Responsible Nano Code"は各国の機関と協調している。米国ではWoodrow Wilson International Center for ScholarsのProject on Emerging Nanotechnologiesで、10月9日には立ち上げのイベントも開催された。残念ながら現在のところ日本の提携先はない。できれば全部和訳しておきたいところだ。