欧州議会で化粧品指令改正案が採択

欧州議会(EP)は3月24日、 Cosmetics Directive 76/768/EECの改正案を、賛成633、反対29、棄権11で承認した。1回目の読会で成立したことになる。新しい法律は2012年に施行される。「ナノマテリアル」に多くの箇所で言及したことが特徴。採択された法律のテキストはここで読める。
改正のポイントは、欧州議会プレスリリースを参照。ナノマテリアルとの関連についてはNIAがプレスリリースにおいてまとめている。動物試験についての条項(Article 18)は変化なし。2004年の改正で最終製品について禁止され、今後は個々の成分についても禁止の方向へ動いていくことになる。EUへ輸入される商品も対象である。
ナノマテリアル特有の重要な点は、定義、通知、ラべリングである。これらに加えて、安全性評価をとりあげる。

Article 2「定義」

(k)で"nanomaterial"を定義。"nanomaterial"とは「不溶性であるか生体内残留性があり、意図的に製造された材料で、1つ以上の外の側面、あるいは内部構造が1〜100ナノメートルのスケールであるもの」とされている。また状況の変化に応じて更新されると書かれている。

Article 10「安全性評価」

Article 3の「安全性」で「市場で販売されるすべての化粧品は、通常のあるいは合理的に予測可能な使用条件下では、ヒト健康にとって安全でなければならない」と一般論が書かれ、Article 10の「安全性評価」と、Annex Iの「化粧品安全性報告」で具体的な項目が挙げられている。報告は、PART Aの化粧品安全性情報と、PART Bの化粧品安全性評価からなる。PART Aの8番の「物質の毒性学プロファイル」では、NOAELに基づいて安全マージン(MOS)が計算されるべきであるとされ、特に考慮すべき点として次の3点が挙げられている。

  • ナノマテリアルを含んだ粒子サイズ
  • 物質中の不純物と使用された原材料
  • 物質間の交互作用

Article 16「ナノマテリアル

「Article 2で定義されたナノマテリアルを含むすべての製品は、ヒト健康の高レベルの保護が確保されなければならない」という言葉で始まる。ただし、Article 14ですでに規制されている顔料、UVフィルター、保存料には適用されない。Article 13「通知」における一般的な要求に加えて、ナノマテリアルを含む化粧品は発売の6か月前に欧州委員会に通知することが求められている(それが同じ者によってすでに市場に出ていない場合)。欧州委員会に通知されるべき情報は最低限以下のとおり。
a)ナノマテリアルを特定するための情報(化学物質名を含む)
b)粒子サイズ、物理化学的特性を含むナノマテリアルの仕様
c)年間販売予定量の予測値
d)ナノマテリアルの毒性学プロファイル
e)使用される化粧品カテゴリーに関連する安全データ
f)合理的に予測可能な曝露条件
次に、欧州委員会がやることは、1)化粧品に使用されているすべてのナノマテリアルのカタログを、合理的に予測可能な曝露条件とともに公表し、定期的に更新する。2)欧州議会と理事会に年間ステータスレポートを提出する。新規ナノマテリアル、通知の件数、ナノ特有のアセスメント手法やガイド、国際的な協力プログラムの進捗などを報告する。

Article 19「ラべリング」

ナノについては「ナノマテリアルの形で存在するすべての成分は、成分リストにはっきりと示されなければならない。それらの成分の名称のあとにカッコ書きで「ナノ」と記すこと」と書かれている。