米国で「炭素のためのナノ安全コンソーシアム」が発足!
3月15日、主に米国で炭素系のナノマテリアルの商業生産に関わっている12の企業が集まり、「炭素のためのナノ安全コンソーシアム(NanoSafety Consortium for Carbon:NCC)」を立ち上げた。法規制や環境健康安全(EHS)問題に取り組む。書かれている目標は以下のとおり。
- NCCメンバー企業の既存の炭素系ナノマテリアルに適用されるTSCA同意指令の毒性試験要求事項を満たすために、代表的な炭素系ナノマテリアルについて、NCCと米国EPAの間で相互に同意できる有害性試験枠組みを作り上げることを目指す。
- 全体的な代表的有害性試験枠組みの一部として、包括的な有害性試験をもう一度要求されることない合理的な範囲の変更(※材料の特性のわずかな変化)を認める、NCCと米国EPAの間で相互に同意可能なアプローチを開発する。
- TSCAの第4節の8のもとで要求される炭素系ナノマテリアルに対して公布される情報提供(data-call-ins)や試験ルール(testing rules)の範囲に関するNCCの見解をEPAに提供する。
- NCCの管理委員会は、本コンソーシアムに対して、追加的あるいは代替的な目的を承認することができる。
やはり、これからさらに活発化するであろう、米国環境保護庁(EPA)によるTSCAを用いた規制的な介入への対応が主目的のようだ。また、2番目の項目は非常におもしろい。ナノマテリアルは特性が変わると別物質として扱われる恐れがあり、そのためどれくらい異なれば「違う物質」だとするか、逆にどれくらいまでなら「同じ物質」とみなすか、がこれから大きな議論になるはずだ。そこに先手を打ってデファクトスタンダードを作っちゃおうという戦略かもしれない。要注意だ。
次に、参加企業は以下のとおり。このうち米国EPAのNMSPに参加している企業は3社(Nano-C、SouthWest NanoTechnologies, Inc.、Unidym)。
- Angstron Materials(ナノグラフェンプレイトレット)
- Applied Sciences(ナノグラフェン材料)
- CheapTubes.com(CNTs)
- Continental Carbon Nanotechnologies(MWCNT)
- Eikos(CNTインクなど)
- Nano-C(C60、CNTs)
- NanoLab(CNTパウダーなど)
- Nanoshel(CNTs)
- Pyrograf Products(カーボンナノファイバー)
- SouthWest NanoTechnologies(CMTs)
- Unidym(CNTs)
- XG Sciences(グラフェンナノプレイトレット)
そして、アドバイザリー委員会を持っており、錚々たるメンバーが参加している。これは気合が入っている。EPAの関係者は入っておらず、NIOSHから2名、NISTから2名入っているのがおもしろい。
- Vince Castranova氏(NIOSH、労働衛生・有害性評価)
- Jeffrey Fagan氏(NIST、化学)
- Steffi Friedrichs氏(NIA、業界団体)
- Chuck Geraci氏(NIOSH、労働衛生・曝露評価)
- Laurie Locascio氏(NIST、生化学)
- Jeffrey Morse氏(University of Massachusetts Amherst、工学)
- Günter Oberdörster氏(University of Rochester、吸入毒性学)
- Mark Tuominen氏(University of Massachusetts Amherst、化学工学)
さらに、Porter Wrightという法律事務所が参加している。これは本気だ。