2006-01-01から1年間の記事一覧

ドイツで実施された「消費者会議」

連邦リスク評価研究所(BfR)でのパイロットプロジェクトとして,「食品,化粧品,衣料の分野におけるナノテク認知に関する消費者会議(Consumer Conference on the perception of nanotechnology in the areas of foods, cosmetics and textiles)」が立ち…

携帯電話を取り巻く「ケータイという文化」が嫌い.

石川温著『Web2.0時代のケータイ戦争−番号ポータビリティで激変する業界地図』角川oneテーマ21. うまく言い表せないのがとても悔しいのだけど,携帯電話はそれそのものじゃなくて,「ケータイ」と表記されるような携帯電話を取り巻く文化が嫌いなのだ.まず…

ナノテクノロジー製品ディレクトリー

日本版のナノテク製品インベントリーを作っているのだが,これとよく似た感じのサイトを発見.その名も「ナノテクノロジー製品ディレクトリー(Nanotechnology Product Directory)」.ただし目的はまったく違う.URLからも分かるとおり,ここの目的はマーケ…

行動経済学が消費者金融の興隆をどう説明しているか気になる.

須田慎一郎著『下流喰い−消費者金融の実態』ちくま新書. 消費者金融といえば,ひたすらイメージだけを流すテレビCMの洪水と無人ATM店舗がいくつかまとまって道路沿いに結集している姿を並べて見るととても不気味だ.あれだけ店舗ができるということは利用者…

米国下院科学技術委員会

中間選挙で民主党が多数派になったが,下院科学技術委員会はナノテクに強い関心を示し続けている.議長のBoehlert氏(R-NY)と民主党員のGordon氏(D-TN)は、Nature誌の論文(5つの壮大な挑戦)を受けて,共同声明を発表(news). 下院科学技術委員会では去…

欧州のNanologueプロジェクトの報告書:3つのシナリオ

Nanologueプロジェクトは「ナノテクノロジーの未来:私たちは話し合う必要がある(The future of nanotechnology: We need to talk)」をリリース.ナノテクノロジーの3つのありうる未来像が提示され,2015年までシナリオが提示されている.この未来像は60人…

「研究結果」の確からしさについてメディアは区別できないのか?

「いじめ、テレビやゲーム漬けが影響か 京大など調査」(朝日新聞) この記事についてはここに(冷静すぎるくらい冷静に)詳しく書かれているからもういいかなと思ったけどやはり書きたくなった.まず,メディアは,「単なる記者発表」(あるいは,誰でもで…

ナノテクの5つの「壮大な挑戦」

Maynard, A. D. et al. Safe handling of nanotechnology. Nature 444: 267-269 (16 November 2006) Nature誌11/16日号の論文.タイトルは「ナノテクノロジーの安全な扱い」という地味なものだけど,有名人たちの連名で,責任あるナノテクノロジーの発展のた…

農水省の「個別危害要因」の優先順位付け

松永和紀のアグリ話「食のリスクは俯瞰の視点で」に紹介されている農水省のリスク因子の優先順位付けの手続き.以下のような感じ. 2005年8月「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順(SOP)」を作成.ここに,リスク管…

古典的名著「費用便益分析」の第5版(ミシャンが復活?)

費用便益分析の古典的名著, Mishan, E. J. "Cost Benefit Analysis"の第5版が今ころになって出版された.さらに,今回はEuston Quah氏という共著者までいる.Quah氏は,シンガポールにある南洋工科大学(Nanyang Technological University)の人文社会科学部…

「どの死亡原因を取り除いて欲しいか」

安井至氏の「リスク報道を超えて 死亡数によるリスク表現」で出された宿題へ回答してみた。 「どの死亡原因を取り除いて欲しいか」を考えていると、2通りあるように思いました。 A.自分のことではないけど、悲惨なので減らして欲しいもの B.自分の死亡リスク…

週刊ポストの<衝撃データを一挙公開>の衝撃(笑)

コンビニでふと目に付いたので立ち読みしてみた.週刊ポスト11/17号の表紙に掲げられたタイトルは「『受動喫煙は子供の発がん率を低下させる!』 成人男女も「影響なし」――WHOが封印した7年間の研究成果」.内容もツッコミどころ満載だったのだけど,一…

次の段階に進む英国の温暖化対策

日本では道徳観に訴えるような生ぬるーいことをやっている間に,英国では温暖化対策2.0とも呼ぶべき動きを見せている.その1つがこれ.英国下院気候変動グループ議長のChallen氏は,クルマの広告の四分の一のスペースは環境影響データを載せるべきだと発言し…

「ナノテクノロジーにおける戦略的コミュニケーションと応用倫理学」

欧州委員会から資金を得て活動しているNanoBio-RAISE(ナノバイオテクノロジー:社会と倫理における問題への責任ある活動)がオックスフォード大学で6日間の国際上級コース「ナノテクノロジーにおける戦略的コミュニケーションと応用倫理学」を開催する.期…

フランスの倫理委員会の8つの勧告

フランスの国立科学研究センター(CNRS)の倫理委員会(COMETS)は,ナノサイエンスとナノテクノロジーに関する倫理問題についての意見を発表した(本文はフランス語のみpdf).内容はだいたいこんな感じ. 1.研究開発に関心があるすべてのステイクホルダー…

Society for the Social Studies of Science (4S)

11月1〜5日に開催された年会の要旨集から関係ありそうなものをチェック(link). さっと見ただけでもナノテクを扱った報告は多い.STS研究の中でナノテクは重要なネタになってきていることが分かる.セッション名で言うと以下の4つ. 1.1L – ナノテクノロジー…

ナノ訴求は得か損か?

少し前の記事だが,米国のナノテク企業が夏に社名から「ナノ」を除く動きがあった."Nanotechnologies, Inc."が"NovaCentrix"に,"Applied Nanotechnologoes, Inc."が"Xintek"に,"NanoPolaris"が"Unidym"に.ブログの著者は,ドイツでのマジックナノ騒動の…

ナノ材料データベース

nanowerkは,93のサプライヤーによる1,354種類のナノ材料のデータベース"Nanomaterial DatabaseTM"を公開している. ただ,サプライヤーは米国のものがほとんどで日本の製造業者は入っていないようだ.ナノ材料は以下のように分類されている(カッコ内は登録…

ナノ-バイオ会議

2006年8月9〜10日に行われたNANO&BIO SCOIETY会議のプレゼン内容をpowerpointなどで見ることができる. おもしろそうだったのは次の3つ. The Ethics of Agricultural Biotech: Lessons for Nanotech? Nanomaterials in Consumer Products and FDA Regulatio…

温暖化関連アップデート

まずは世界気象機関(WMO)による発表から.2005年のCO2濃度は379.1ppmで前年に比べて0.53%上昇して観測史上最高値を更新(記事).N2O濃度も319.2ppmで前年に比べて0.2%上昇.メタンなど他の温暖化ガス濃度は変化なし. 先日,「温暖化ガス・メタン、00…

ナノテクと食品

10月12〜13日に米国アトランタで開催されたNano4food会議(第2回)では,"SESSION 4: Regulatory Issues and Consumer Confidence"において,「ナノテクノロジーと毒性学:食品とナノテクノロジーについて懸念すべき理由はあるのか?」「法的責任:食品関連…

最近のナノ動向

ネット環境が復活.最近のナノテク関係の動きをまとめておく.英国では環境・食糧・農村地域省(DEFRA)による自発的報告スキーム(voluntary reporting scheme)が開始された.また,食品基準庁(Food Standard Agency)でも5月に法規制ギャップの調査結果…

Grahamの次のOIRA長官は・・・

John D. Graham退任後,空いたままだったOIRA長官のポストに,ブッシュ政権は,Susan Dudleyを指名.彼女は,George Mason大学のMercatus Centerの規制研究プログラムを仕切っている.7月に指名されたが,民主党からの強い反対を受けてまだペンディングのよ…

論文捏造とドーピング

科学の世界での論文捏造は,スポーツの世界ではドーピングに相当する.インパクトの大きさで言うと,韓国のファンウソク・ソウル大教授による論文捏造に相当するのは,ツール・ド・フランス総合優勝のフロイド・ランディスのドーピング(疑惑)かな,なんてこ…

CO2価格を定期的にチェック

欧州気候取引所では,1トンあたり現在15〜16ユーロ(2200〜2400円).米国シカゴ気候取引所では,$4.40〜$4.60(510〜530円)程度.

日本でも初めてのBATレベルが設定へ

POPS条約対象物質であるヘキサクロロベンゼン(HCB)が副生することが分かり,BATレベルを設定することになった.BATとは"best available technology"の略であり,厳密な定義は存在しない.多くの場合,技術的および経済的に実行可能であるという程度の説明…

EPAが費用便益分析を根拠に規制緩和を提案・・・環境保護団体から提訴

EPA長官が6月1日に,冷却水の取水に関する規制に署名したことに対して,環境保護団体から訴訟が起こされた.理由は,費用便益分析の結果に基づいて(全国一律の規制を断念するという)決定が行われたことはClean Water Actに違反しているというもの.発電所…

ノルウェーの公式VSL

ノルウェーでは,1990年代初め,他国のWTPのレビューからVSLを便益移転して,1000万NOKが付けられた.事故の被害者へのインタビューを通して得られた障害度を用いて,負傷の費用が推計された.この後,物価調整されて用いられている.

フィンランドの公式VSL

フィンランドでは,「社会的支払意思額(social willingness to pay)」と呼ばれる人的資本アプローチが用いられていた.交通通信省(Ministry of Transport and Communications)がVTT Communications and Infrastructure社に交通事故に起因する生活の質の損…

スウェーデンの公式VSL

スウェーデンでは,National Road Administration (NRA)が費用便益分析を行う際にVOSLを用いてきた.1986〜1987年に実施されたアンケート調査に報告された値(Persson and Cedervall 1991)を更新して,1997年値で1300万スウェーデンクローナ(SEK)(約2億1…