2008-01-01から1年間の記事一覧

IARCモノグラフへのその他のリクエスト

Imperial Colledge Londonの環境疫学者であるVineis氏は、ストレス、気候変動、ハーブなどの代替薬品をリクエスト。気候変動で発がん?と疑問に思ったら、途上国での干ばつや洪水で土壌の成分が変わり、ヒトをがんから守るセレンなどの微量栄養素が減るかも…

IARCモノグラフにカーボンナノチューブがリクエストされた

これもPoland et al.レターの波及効果ネタ。International Agency for Research on Cancer (IARC)(国際がん研究機関)の「IARCモノグラフ」シリーズは、ヒトにがんを生じさせる可能性のある対象を、1971年以来900件以上とりあげ、そのうちおよそ400が「ヒト…

英国Environment AgencyがCNTを「有害廃棄物」に分類することを提案

5月にNature Nanotechnologyに載ったletter(Poland et al.)の影響はいろいろなところに波及している。英国のEnvironment Agencyは5月19日,フリーな(unbound)カーボンナノチューブ(CNT)を含む廃棄物の分類と処分に関する暫定的な(interim)勧告を発表し…

エマージングリスク:2nd World Congress on Risk参加報告(その4)

今回の会議でとても耳に残ったフレーズは"emerging risks"だ。言い換えると、"new and/or increasing risks"であり、単に「新しい」というだけでなく、「リスクが増してきているぞ」という感じを伴う。日本語にすると「新興リスク」といったところか。ぼくが…

2つのQと3つのS:2nd World Congress on Risk参加報告その3

Maynardさんのプレゼンタイトルは"Towards "safe" nanotechnologies―where do we want to be, and how will we get there?"(「安全な」ナノテクノロジーに向けて−どこに行きたい?そしてどうやってそこに辿りつける?)だった。ツカミは、2つの質問。実は昨…

フォーキャスト:2nd World Congress on Risk参加報告(その2)

6月10日の全体集会は「セキュリティ、ガバナンス、そして新興の脅威の管理(Security, governance, and the management of emerging threats)」として、バイオセイフティとナノテクノロジーの話があった。ナノテクノロジーの話をしたのは、ライス大学のVick…

SRAの野望:2nd World Congress on Risk参加報告(その1)

4年に一度の世界大会の第二回が2008年6月8日から11日までメキシコのグアダラハラで開催された。第一回にはあまり興味がわかず参加なかったけど、ベルギーのブリュッセルで開催された。Society for Risk Analysis (SRA)は本部と位置付けられる北米に加えて、…

Andrew Maynardに会ってきた!

論文、議会証言、そしてブログをいつも追っかけているMaynardさんにとうとう会ってきた。場所はメキシコ、グアダラハラ。6月8〜11日に開催されたSecond World Congress on Risk(リスク分析学会の第2回世界大会)の6番目の"breakout session"(第6分科会?)…

今度はNature Nanotechnology誌にMWCNTとアスベストの関連を示唆する論文

Nature Nanotechnology誌に,5月20日付でオンラインで発表された論文.Nature関連雑誌だけに反響も大きい.タイトルは"Carbon nanotubes introduced into the abdominal cavity of mice show asbestos-like pathogenicity in a pilot study"(パイロット研究…

Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:4月前半分

一度せっかく書いたのに勝手にログアウトされていて消えてしまった(はてなにはこんな恐ろしい機能があったのか,気をつけなくては)のでもう一度短めに.4月は内容が濃いのでまずは前半. 4月2日(1日の深夜)はエイプリルフールネタ 過去記事:SWCNTの不純…

日米のニュース記事をまとめてアップ

Nanowerkの記事「日本の厚生労働省はナノテクの安全性のために地方政府や産業界に対して予防的な手段をとるように呼びかけた」は最近の日本の動きをまとめた記事。2月7日の厚労省の勧告(pdf)、The Journal of Toxicological Sciences誌の高木論文(link)…

米国EPAが鉛の大気環境基準値の大幅強化を提案

EPAは5月1日、現行の1.5μg/m3から0.10〜0.30μg/m3(代替案として0.10〜0.50μg/m3)への強化を提案。基準値の強化は1978年以来(30年ぶり)のことだけど、その間に実施された有鉛ガソリンの廃止によって大気中への鉛の排出は98%近く減ったそうだ。現在は様々…

PENの出版物リストをおさらい(1)

相変わらずのペースで様々な報告書をリリースし続けるPEN。"日本のPEN"を目指すわれわれとしては気になるところ。シリーズ全11巻をおさらいしてみた。最近のものから順番に。 シリーズ11巻は地方レベルでできるナノテクガバナンスについて検討 PEN 11 - Room…

シリコンバレーからのナノテク規制の提案

ちなみに、SVTCは4月2日に"Regulating Emerging Technologies in Silicon Valley and Beyond"という報告書をリリース。ナノテク産業の現在は1980年代頭のエレクトロニクス産業と非常によく似ており、初期のエレクトロニクス産業がクリーンだと言われながらも…

CTAがEPAにナノテク製品の販売中止を求める請願書提出

CTA(International Center for Technology Assessment)のターゲットは銀ナノ粒子(プレスリリース)。殺菌や抗菌目的で広範に使われている。請願書は100ページを超えるもので、銀ナノ粒子を使った消費者製品の販売停止を要求している。請願者は他にも13団…

ICONの研究ニーズ報告書

ICON(International Council on Nanotechnology)から「ナノ材料の生物学的相互作用の予測に向けて:ナノテクノロジーの環境・健康・安全に関する研究ニーズの国際アセスメント」という報告書が5月1日にリリース。今回は日本語のエグゼクティブサマリー付き…

いろんな化学物質の使用が禁止されつつあるメモ。

欧州で、臭素系難燃剤のDecaBDEの電気電子機器への使用が2008年6月30日から禁止(link)。 カリフォルニア州で、可塑剤のフタル酸の3歳未満の子供用のおもちゃへの使用が2009年1月1日から禁止(0.1%以上のDEHP, DBP, BBP、子供の口に入るものは0.1%以上のD…

ナノ予算に占める「環境安全健康(EHS)研究予算」

「本当はどれだけの予算がEHS研究に向けられているのか」についての米国での議論。まずはPEN(Project on Emerging Nanotechnologies)による分析(pdf)が4月19日付で発表された。NNI(National Nanotechnology Initiative)のFY2008予算のうち、3,770万ド…

OECDのスポンサーシッププログラム

日本で先週、OECDのスポンサーシッププログラムに関するワークショップが開催された。昨年決められた優先的に試験を行うべき14物質に加盟国がスポンサーとなり、有害性の試験セットが実施される計画。OECDの見積もりによると1物質あたり200万ドルかかるとい…

生物多様性へのリスクについてのhorizon scanning

予測は技術であって、その方法論自体が研究対象となりうる。そのためのツールとして、英国では"horizon scanning"が公的機関でも実施されている。日本ではまだあんまり重視されていないのでこの辺はビジネスチャンスだ。 生物多様性に対する将来的なリスクに…

ナノエシックスのアンソロジー

Springer社とThe Nanoethics Groupがナノエシックスに関するアンソロジー(ベスト盤?)を出版。タイトルは、"Nanotechnology and Society: Current and Emerging Ethical Issues"(ナノテクと社会:現在および将来の倫理問題)。目次はpdfで見れる。第1部が…

Nanoethics誌の気になった論文メモ

Ebbesen, M. (2008). The role of the humanities and social sciences in nanotechnology research and development. Nanoethics 2: 1-13. Ebbesen氏はデンマークのAarhus(オルフス)大学の生命倫理とナノ倫理センター(Centre for Bioethics and Nanoethi…

ICONから5月1日に新レポート発表

ライス大学を拠点とする、ICON(International Council on Nanotechnology)は昨年、13カ国から70人の専門家のコラボで2回のワークショップを開催し、ナノテクの潜在的影響を評価するための研究ニーズを特定することを試みた。このICONとNSFが資金を提供した…

移動距離よりも生産方法

ES&T誌に載ったWeber and Matthews (2008)は、最近あちこちで言われていることだけど、地球温暖化対策には、フードマイルズ(移動距離)よりも、どのようにして生産されているか(生産方法)の方が大事だということを示した論文(news)。フードマイルズは日…

NNI改正法に向けての下院公聴会

NNI改正法(National Nanotechnology Initiative Amendments Act of 2008)に向けて、米国下院の科学技術委員会で4月16日、公聴会が開かれた。過去3度行われた公聴会(2007年10月2日にナノテク教育、2007年10月31日にナノテクの環境安全影響についての研究に…

ビスフェノールAの健康リスク

昨年来の米国でのビスA騒動は10年前の日本を見ているようだった。ビスAの危険性を煽る本が次々出たり、ビスAフリーのガラス製哺乳瓶が売り出されたり。単純に米国は日本の10年遅れなのか?それともこの動きは日本に再上陸するのか? NTPから"NTP Brief on Bi…

Sunstein氏の新作は待ちに待った"Nudge"

ちょうどamazonから"Nudge"が届いた日に池田信夫blogで"Libertarian Paternalism"というタイトルの記事が出た。昨年12月にSociety for Risk Analysisの年会でもSunstein氏の話(「リバタリアン・パターナリズムは矛盾した言葉ではない」)を聞いたんだけど、…

意思決定にはエネルギーを使う

1日に可能な意思決定の数っていうのは限度があってあまりにもいろんなことを決めなきゃいけない日にはどっかでこれ以上はムリっていうところに達してしまうってずっと思っていたんだけど、Journal of Personality and Social Psychology誌に載ったVohs et al…

東京、ブリュッセル、ニューヨーク。ナノイベント3つ

4月23日に東京でNEDO-産総研-OECD共催の国際シンポジウム「工業ナノ材料のリスク評価」が開催される。有名どころではDuPontの研究所からDavid Warheit氏、米国NIOSHからはVladimir Murashov氏なんかが来日する。 ブリュッセルでは4月17〜18日に欧州委員会主…

Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:3月分

3月1日は南極が国際的なナノテク規制のお手本になる?という話。 2月25〜29日にオーストラリアのメルボルンで開催されたICONN2008(2008 International Conference on Nanoscience and Nanotechnology)で報告された、Alan Hemmings氏の"Regulating Nanotech…