11月、欧州理事会で「化粧品に関する欧州議会と欧州理事会の規制」("REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on cosmetic products")が承認された。前文はpdfで読める。欧州議会で採択されたときに書いた内容とだいたい同じだけどもう…
Chemical & Engineering Newsに銀ナノ粒子の問題がまとめてあったので抜粋メモ。 米国EPAは、抗菌目的で利用される銀ナノ粒子をFIFRA(連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法)のもとで規制する(=安全性についてのデータを要求できる)権限を持っている。産業界の…
Nature Nanotechnology誌のオンライン版にまた注目論文が掲載された。タイトルは「ナノ粒子が細胞壁を越えてDNAを損傷しうる」で、著者は英国の研究者たち。"can"が微妙な感じの煽り系のタイトルだ。内容は「新規なメカニズムで」と言ってるだけあってなかな…
Nature Nanotechnology誌のオンライン版に「吸入したカーボンナノチューブがマウスの胸膜下組織に到達」というタイトルの論文が掲載された。North Carolina州立大学のグループによる。これまでは腹腔内に投与したMWCNTの影響が議論されていたが、本論文は吸…
米国National Library of Medicine(NLM)のToxicology Data Network (TOXNET)のHazardous Substances Data Bank(HSDB)に7つのナノマテリアルが追加された。HSDBには5000種類以上の化学物質データが登録されている。 Carbon Nanotubes Fullerenes Silver N…
厚生労働省の新型インフルエンザの優先接種対象者には、医療従事者、妊婦、基礎疾患を有する者に続いて、「小児(1歳〜就学前)」が挙がっている。ちなみに1歳に満たない場合は本人ではなくその両親が対象となる。つまり、「1歳児」と「1歳未満」の間に線が…
英国Royal Societyが2009年8月に報告書"Geoengineering the climate: Science, governance and uncertainty"を発表し、ジオエンジニアリングはトンデモ話でなくリアリティある1つの地球温暖化対策であり、その効果と潜在的なリスクを事前にきちんと評価しな…
10月9日、欧州委員会の環境コミッショナーのDimas氏はスピーチの中で、欧州委員会は、製品のライフサイクルを考慮した欧州レベルでのREACHも含めた法規制ギャップ調査を2年以内に完了させると発言。これは4月24日に欧州議会が可決した決議案を受けてのもの。
ドイツ連邦環境庁(UBA)が10月21日に発表した報告書をもとにした新聞記事がドイツでちょっとした騒ぎになっているようだ。まず元のプレスリリースがこれ。ドイツ語だけどGoogle Translateで英語にすれば完璧に読める。ただし、この記事の最後にリンクされて…
NRCからの報告書を受けて、専門誌での議論も始まった。Risk Analysis誌では、2009年4月号において特集されている。他方、Toxicological Sciences誌では、Forum Seriesとして、2009年2月号から毎号様々な論点からのコメントがシリーズとして現在も進行中であ…
2009年5月11〜13日、ワシントンDCのNational Academy of Sciencesで「毒性経路ベースのリスク評価に関するシンポジウム: パラダイム変化に備える」が開催された。3日間のプレゼン資料のほとんどがウェブサイトから見ることができる。このテーマでプレゼンで…
米国環境保護庁(EPA)は、NRCの報告書を受けて、庁内ワークグループ、"Future of Toxicity Testing Workgroup (FTTW)"を立ち上げ検討を行い、「化学物質の毒性評価のための戦略計画」を2009年3月発表(リンク)した。戦略計画は3つの要素と8つの戦略目標から…
2008年2月14日、米国環境保護庁(EPA)、米国国立衛生研究所化学物質ゲノミクスセンター(NCGC)、米国環境健康科学研究所(NIEHS)が5年間の覚書(MOU)に署名、コラボレーションを発表した。EPAは2005年に、National Center for Computational Toxicology(…
現在の毒性試験の体系は生物学やバイオテクノロジーなどの科学の進展を適宜取り入れて発展してきたんだけど、リスク評価&管理の全体に照らして適切かどうかという評価はやってこなかった。そろそろ一度全体を見直さなくちゃ、ということで、米国環境保護庁…
米国EPAのLisa Jackson長官は、29日のスピーチの中で、オバマ政権の化学物質管理の哲学を表した「化学物質管理法制の改革のための基本原則」を発表した。これは具体的には1976年に制定されたTSCA(Toxic Substances Control Act)の改革の方向性を意味する。…
英国House of Lordsの科学技術小委員会の"nanotechnologies and food"のヒアリングシリーズ。2009年3月31日に始まって7月14日まで12回続いた。毎回テーマを決めて専門家や関係者を数人ずつ呼んで1時間半程度実施。そのメンバーが豪華。5/5にはエジンバラ大学…
2009年8月26〜29日 4th International Conference on Nanotechnology ? Occupational and Environmental Health (Helsinki, Finland) 2009年9月6〜9日 4th International Conference on the Environmental Effects of Nanoparticles and Nanomaterials (Vien…
米国環境保護庁(EPA)が主催で11月9〜10日にラスヴェガスで開催される(アジェンダにリンク)。誰でも聞きに行ける。プレゼンされる研究のスポンサーは、EPA、NSF、NIH/NIEHS、NIOSH、DOEとほぼ全部そろっている。発表は、金属&炭素系ナノマテリアルとその…
Andrew Maynard氏がヘルシンキで8月末に開催された第4回ナノテクノロジー国際会議−労働安全衛生(NanOEH2009)の終わりのスピーチで話した内容がブログにアップされたので適当にメモ。 10.「ナノテクノロジー安全」のようなものは存在しない。 「ナノテクノロ…
EUMINAfabが9月1日スタート(ニュース記事)。使用提案の届け出が始まる。EUMINAfabは、EU8カ国の10組織にある36のマイクロ&ナノテクノロジーのハイテク設備が、科学者や企業の技術者に向けて、オープンアクセスで自由に使えるもの。審査に通れば使用料は無…
ことの発端は、英国Ulster大学が8月24日に「画期的な研究がナノ粒子とアルツハイマー病を結び付ける」というプレスリリースを発表したことだった。これを受けて、例えば「サンスクリーンがアルツハイマー病につながっているかもれないと専門家が言う」とか「…
論文に載っている基礎的情報をメモ。 印刷工場の同じ部署で働いていた7人の若い女性患者は、5〜13ヶ月の曝露ののち2007年1月から2008年4月にかけて北京Chaoyang病院を訪れた。彼女たちはその前に地域の病院において複数の胸腔穿刺、抗生物質、抗結核薬、メチ…
Song, Y., Li, Y. and Du, X. (2009). Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma. European Respiratory Journal (Published online before print August 20, 2009).ようやく論文本体を読んだので感想を…
昨日ウェブに掲載されると言われていた論文はまだアップされない。一番詳しく紹介しているのは、SAFENANOのエディターであるBryony Ross氏のまとめかな。論文公表を前提にどんどん報道は増えていく。もしかして専門家からの批判を受けてERJ誌側が慎重になっ…
Maynard氏のブログに引用されている有識者6名の見解を(かなり適当に)まとめてみた。詳しくはご自分でチェックしてください。いずれもナノトキシコロジーの有名どころばかり! Professor Anthony Seaton MD 多数の欠陥のある研究である。特に肺の中と労働環…
昨日取りあげた論文はやはり大きな波紋を呼んでいるようだ。論文自体はまだERJ誌のウェブサイトに掲載されていないので読むことができない。 Andrew Maynard氏はブログに3つも連続で記事を書いている。1つ目は、ナノテクに対する反対派と推進派によってこの…
北京の工場のCNT生産能力を世界最大の年間500トンに拡大したCNano Technology Limited (CNano)社が、製造前届出(PMN)を出していた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)について米国環境保護庁(EPA)から同意司令(Consent Order)を受け取ったと8月18日に発…
European Respiratory Journalの9月号に、"Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma"(ナノ粒子への曝露が胸水、肺線維症、肉芽腫と関連がある)という論文が掲載される。この論文では、中国の工場でナ…
たぶん初めてCNTの90日間吸入曝露試験の結果が査読付き論文の形で発表された(リンク)。実験はBASF社の研究者によって実施されたが、評価対象はNanocyl社の商品であるNMCNT。曝露装置もBASF社が大学と共同で開発したものを使っている。アブストしか読んでな…
3月に開催されたICON主催のワークショップの結果をまとめたペーパーがACS Nano誌に出た。ワークショップで明らかになった重要な知識ギャップは次のとおり(詳細は論文を参照)。 環境中の工業ナノ材料のための構造活性関係(SARS) ナノ粒子と環境の相互作用…