2007-01-01から1年間の記事一覧

ホンダ議員による"NANO Act"

例の悪名高いマイク・ホンダ下院議員が,"Nanotechnology Advancement and New Opportunities (NANO) Act"(ナノテクノロジーの発展と新たな機会法案)(HR 3235)を提案した."NANO Act"と呼んでもらうために,頭文字が"NANO"となるようにちょっと強引な法…

DVD「不都合な真実」の中の名言と誤訳

「不都合な真実」を見た.少し違和感があったのが,ゴア氏は気候変動の問題を,我々vs.地球という文脈で語るけれど,ぼくは我々vs.将来世代と捉えたいと考えているというギャップ.一番感銘を受けたのはゴア氏のスライドショーの準備シーン.聞き手の理解を…

欧州委員会が「行動規範」を提案

欧州委員会は自発的な,「責任あるナノサイエンスとナノテクノロジーの研究の行動規範」(Code of Conduct for Responsible Nanosciences and Nanotechnologies Research)の採択を計画している.そのためのコンサルテーション文書(pdf)が発表され,7月19…

EPAの提案文書のうち2つを仮和訳

1つ目の官報通知(Federal Register Notice)に関する文書を和訳した.後者には,用語について(A),報告すべきデータについて(B),TSCAのフレームワークのまとめ(C),課題と挑戦(D)という4つの便利な付録が付いている. 「ナノスケール物質のTSCAインベ…

PENの関係者はEPAの提案を批判

Project on Emerging Nanotechnologies (PEN) の関係者2人がEPAの提案を批判している(link).まず,5月に報告書"EPA and Nanotechnology: Oversight for the 21st Century"を発表したJ.Clarence Davies氏は,TSCAの重要新用途ルール(SNUR)条項を使って,…

カーボン・ナノスフィア(CNS)

新しいナノ材料.米国Headwaters Incorporatedが開発したCNSについて,住友化学と戦略的提携を結び,CNSの開発と商業化を進めると発表(News,ニュース).CNSの持つ固有の特性は次のとおり. 高い伝導性 表面改質が可能(強度などを保ったまま) 単純な製造…

TSCAでナノ材料をどう扱うかについてのEPAの戦略

昨日速報を流したように,EPAが提案したナノスケール材料の管理戦略は2本立てになっている. TSCAにおいてナノ材料をどこまで扱うことができるか?(→新規か既存か?報告閾値は?) TSCAから漏れてしまう部分をどうやって拾い上げるか?(→自発的に情報を提…

とうとうEPAがStewardship Programをパブコメに!

正式には"Nanoscale Materials Stewardship Program"(NMSP:ナノスケール物質のスチュワードシップ・プログラム).Stewardshipは日本語にするなら「責任ある管理」くらいか("responsible development"という言葉も似たような意味で使われる).NMSPは,TS…

ナノテクノロジーで汚染予防

9月25〜26日にArlingtonで,"Pollution Prevention through Nanotechnology Conference"という会議が開催される."Pollution Prevention"は「P2」と略される.ポスター発表は7月31日まで募集している. フライヤーによると,次のような疑問に答えることを目…

EPAによるオゾン新基準値の提案根拠

先日書いたように,ヒト健康影響に関する第1次NAAQSは「8時間平均値で0.070〜0.075 ppmの範囲」が提案された.これまでの経緯をおさらいすると,2007年1月のStaff Paperでは,「0.080ppmをやや下回る値から0.060ppmまでの範囲」を推奨し,上限0.074ppm,中央…

地球温暖化阻止テロ?

「温暖化の秘密計画で英に」テロ炎上車のインド人が家族に(読売新聞) 6日付タイムズ・オブ・インディア紙によると、英国の連続テロ事件でグラスゴーの空港ターミナルに突入した車両を運転していたとされるインド人航空技師は、5月初めに英国に向かう際、…

新刊"Nanoethics: The Ethical and Social Implications of Nanotechnology"

8月発売予定の新刊.日本語では『ナノ倫理学:ナノテクノロジーの倫理的および社会的影響』.この分野の代表的な人たちの論稿が並び,これは邦訳する価値がありそうだ. 序文には米国ナノテク界の大物,Mihail C. Roco)氏. 第1章「イントロ:ナノテク議論」…

ナノ毒性学会議2007

パリで6月26〜28日まで,"Nano Toxicity Conference 2007"が開催された.以下,プログラムを見ながら適当なメモ作成. Session 1:環境影響 各種ナノ材料(金属,酸化物,CNT)の土壌と水圏での挙動やミミズと魚の体内動態の調査.フランスのAfssetの報告書…

EHPの2007年7月号より

Bell et al. (2007). Ambient Air Pollution and Low Birth Weight in Connecticut and Massachusetts 大気汚染と出生時体重の関係.マサチューセッツとコネティカットで1999〜2002年に生まれた約36万人を対象に,PM2.5,PM10,NO2,SO2,CO曝露(妊娠期間中…

OIRA長官に就任したSusan Dudley氏の話

米国OMB(Office of Managemenet & Budget)では,John D. Graham氏が退任したあと,OIRA(Office of Information & Regulatory Affairs)長官はずっと空席だった.それは,昨年7月末にブッシュ大統領から指名を受けて以来ずっと議会の承認が得られなかった…

生態系便益評価の報告書草稿

EPAの科学諮問委員会(SAB)の,Committee on Valuing the Protection of Ecological Systems and Services(C-VPESS)から,報告書草稿“Valuing the Protection of Ecological Systems and Services”(生態系と生態サービスの保護を金銭価値化する)が発表さ…

NASによるオゾン影響の定量化と金銭評価のパネル

全米科学アカデミー(NAS)は,"Estimating Mortality Risk Reduction Benefits from Decreasing Tropospheric Ozone Exposure"(対流圏オゾン曝露を削減することによる死亡リスク削減便益の推計)というパネルを立ち上げた.リスク削減効果の定量化とその効…

チャールズ皇太子のカーボン・フットプリント

チャールズ皇太子一家は,2005年以来カーボンニュートラルを達成している(2007年1月以前の海外出張は含めていなかったらしい).オフセットには,Climate Care社のプログラムを利用している.チャールズ皇太子の年次会計が発表され,その中で実際のCO2排出…

Pigou Clubの目指すものは本当にPigouvian Taxか?

Mankiw教授がPigou Club Manifesto(ピグークラブ宣言)とともに,2006年10月,Pigou Club(とそのためのブログ)を立ち上げた.クラブには著名な経済学者や政策専門家がずらり.Bill Nordhaus, Gary Becker, Paul Krugman, Al Gore, Alan Greenspan, Hal Va…

大統領諮問委員会が2つ

科学技術に関する大統領諮問委員会(U.S. President's Council of Advisors on Science and Technology:PCAST) のナノテクノロジーに関するpublic meetingが,6月25日に開催される(pdfのプログラム).午前がナノテクノロジーの応用(applications)で,午…

ドイツの法規制ギャップ調査

ドイツ連邦環境庁(Umweltbundesamt:UBA)からの委託で,Institute for Applied Ecologyがまとめた法規制ギャップ報告書「ナノテクノロジーの法律面の評価:現行の法枠組み,規制の必要性,および,欧州と国家レベルでの規制オプション」(Legal appraisal o…

カナダでも法規制フレームワークを検討

3月16日,トロントで,Canadian Institute of Environmental Law and Policy (CIELAP)が「ナノテクノロジーのための適切な政策フレームワークについて議論するためのステークホルダー・ワークショップ(Stakeholder Workshop to Discuss an Appropriate Poli…

米国の食料品製造者協会がケーススタディを実施

Project on Emerging Nanotechnologiesと食料品製造者協会(Grocery Manufacturers Association:GMA)は,共同で,食品と食品包装のための工業ナノ材料の製品化と規制に関するいくつかのケーススタディを実施すると発表した(news).ケーススタディは仮想的…

また環境経済学の新雑誌

"Review of Environmental Economics and Policy"誌(REEP)に続いて,"International Review of Environmental and Resource Economics"誌(IRERE)が発刊.Volume 1, Issue 1は2007年4月発行.こっちは著者はすべて編集者からの依頼によるようだ.

RFFでの6月6日のイベントは映像配信

Resources for the Future (RFF)で6月6日に開催されたイベント,「ナノテクノロジーと自然:リスクを減らしても利益を得ることが可能か?(Nanotechnology and Nature: Can We Reduce Any Risks and Still Reap the Rewards?)」の様子はすべて,Real Playe…

進化心理学とリスクコミュニケーション

昨年12月のSociety for Risk Analysis 2006 Annual Meetingの感想に「Proceedingsが,National Academiesから出版されると聞いたように思う」と書いたが,ちょっと違ってて.Annals of the New York Academy of SciencesのVolumeとして出版されることになっ…

ハピネス研究によって生活の要素ごとに値札を付ける

アンケートを用いることによって,環境,健康,安全といった市場で取引されていない財に値段を付けることが可能になった.支払意思額(WTP)を尋ねたり(CVM),属性の束から選択させたり(コンジョイント分析)する方法が主流だ.最近,これらに加えて,生…

ナノクエスト

NANOQUEST(ナノクエスト)というゲームをやってみた.Ver.1.5でオンラインで遊べるし,解説も豊富でナノテクの勉強になる.場所はダブリン,2008年.D'Arcy教授のもとで働くJacKとOrla(どちらかを選ぶ)は悪い同僚によって,ナノサイズにされてしまう.そ…

英国での市民参加系のプロジェクトを総括

6月26日,英国のInstitute of Physicsで,“All Talk? Nanotechnologies and public engagement”というイベントが開催される.シンクタンクのDemosと,Nanotechnology Engagement Group (NEG) の共催.朝10時からはまず,Demosから,Nanodialoguesというプロ…

デュポン社とEnvironmental Defenseのコラボレーション

DuPontとEnvironmental Defenseは,EPAの資金援助を一部受けて,2005年9月からナノ製品のリスクを自主的に評価するためのガイドライン作りを開始した.ドラフトが公開されコメントの募集を経て,6月21日,「ナノリスク・フレームワーク(NANO Risk Framework…