ナノ

公的資金によるナノリスク研究プロジェクトの省庁横断発表会

米国環境保護庁(EPA)が主催で11月9〜10日にラスヴェガスで開催される(アジェンダにリンク)。誰でも聞きに行ける。プレゼンされる研究のスポンサーは、EPA、NSF、NIH/NIEHS、NIOSH、DOEとほぼ全部そろっている。発表は、金属&炭素系ナノマテリアルとその…

「ナノテク安全についてみんなが知っておくべき10のこと」

Andrew Maynard氏がヘルシンキで8月末に開催された第4回ナノテクノロジー国際会議−労働安全衛生(NanOEH2009)の終わりのスピーチで話した内容がブログにアップされたので適当にメモ。 10.「ナノテクノロジー安全」のようなものは存在しない。 「ナノテクノロ…

欧州のヴァーチャルインフラ施設、EUMINAfabがスタート。

EUMINAfabが9月1日スタート(ニュース記事)。使用提案の届け出が始まる。EUMINAfabは、EU8カ国の10組織にある36のマイクロ&ナノテクノロジーのハイテク設備が、科学者や企業の技術者に向けて、オープンアクセスで自由に使えるもの。審査に通れば使用料は無…

今度はナノ粒子とアルツハイマー病を結び付ける報道

ことの発端は、英国Ulster大学が8月24日に「画期的な研究がナノ粒子とアルツハイマー病を結び付ける」というプレスリリースを発表したことだった。これを受けて、例えば「サンスクリーンがアルツハイマー病につながっているかもれないと専門家が言う」とか「…

論文本体その2:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

論文に載っている基礎的情報をメモ。 印刷工場の同じ部署で働いていた7人の若い女性患者は、5〜13ヶ月の曝露ののち2007年1月から2008年4月にかけて北京Chaoyang病院を訪れた。彼女たちはその前に地域の病院において複数の胸腔穿刺、抗生物質、抗結核薬、メチ…

論文本体その1:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

Song, Y., Li, Y. and Du, X. (2009). Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma. European Respiratory Journal (Published online before print August 20, 2009).ようやく論文本体を読んだので感想を…

報道その1:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

昨日ウェブに掲載されると言われていた論文はまだアップされない。一番詳しく紹介しているのは、SAFENANOのエディターであるBryony Ross氏のまとめかな。論文公表を前提にどんどん報道は増えていく。もしかして専門家からの批判を受けてERJ誌側が慎重になっ…

続報その2:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

Maynard氏のブログに引用されている有識者6名の見解を(かなり適当に)まとめてみた。詳しくはご自分でチェックしてください。いずれもナノトキシコロジーの有名どころばかり! Professor Anthony Seaton MD 多数の欠陥のある研究である。特に肺の中と労働環…

続報:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

昨日取りあげた論文はやはり大きな波紋を呼んでいるようだ。論文自体はまだERJ誌のウェブサイトに掲載されていないので読むことができない。 Andrew Maynard氏はブログに3つも連続で記事を書いている。1つ目は、ナノテクに対する反対派と推進派によってこの…

CNano社のMWCNTが同意司令を受ける

北京の工場のCNT生産能力を世界最大の年間500トンに拡大したCNano Technology Limited (CNano)社が、製造前届出(PMN)を出していた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)について米国環境保護庁(EPA)から同意司令(Consent Order)を受け取ったと8月18日に発…

ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文の発表とそれへの素早いコメント

European Respiratory Journalの9月号に、"Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma"(ナノ粒子への曝露が胸水、肺線維症、肉芽腫と関連がある)という論文が掲載される。この論文では、中国の工場でナ…

BASFがMWCNTのラット90日間吸入曝露試験の結果を発表

たぶん初めてCNTの90日間吸入曝露試験の結果が査読付き論文の形で発表された(リンク)。実験はBASF社の研究者によって実施されたが、評価対象はNanocyl社の商品であるNMCNT。曝露装置もBASF社が大学と共同で開発したものを使っている。アブストしか読んでな…

「エコで責任あるナノテクノロジーを進めるための研究の優先順位」

3月に開催されたICON主催のワークショップの結果をまとめたペーパーがACS Nano誌に出た。ワークショップで明らかになった重要な知識ギャップは次のとおり(詳細は論文を参照)。 環境中の工業ナノ材料のための構造活性関係(SARS) ナノ粒子と環境の相互作用…

2009 GlobalChemでのプレゼン資料からメモ

2009年4月6〜8日にBaltimoreで開催された、2009 GlobalChem: Global Chemical Regulations Conferenceのプレゼン資料より数点メモ。 ・Jim Alwood氏のプレゼン資料からメモ EPAがCNTに対するConsent Orderで「90日間吸入毒性試験」とともに要求していた「1グ…

有害性発症メカニズムについての論文2本

多層CNTがマウスに全身免疫機能を低下させる仕組み Nature Nanotechnology誌のオンライン版に載った論文。ガーディアン紙の記事の中で著者は、「肺の外でも影響が出てること」を強調している。以下、要旨の抄訳(正確でないかも)。 0、0.3、1mg/㎥の3群のマ…

ナノリスク規制についての動き

John C. Monica, Jr.氏のブログによると、Inside U.S. Trade誌の記事によると、ナノテク規制について3つの進展があると報じられているそうだ。確かに、銀ナノ粒子についての請願はまだ決定が出されていない。これらのリアリティについては分からないが心に留…

米国のナノテク専門家へのアンケート調査

米国のナノ科学者に対するアンケート調査の結果を分析した論文がJournal of Nanoparticle Researchに発表された。タイトルは「リスクと規制について:米国トップクラスのナノ科学者が、どのようにしてナノテクに関する政策スタンスを形成するか」(リンク)…

ICONの最近の動き

ICONはしばらく前に、GoodNanoGuideをベータ版を正式に立ち上げた。入口は、ナノテク新参者(Basic)、そこそこ知ってる人(intermidiate)、労働衛生の専門家(Advanced)の3つ用意されている。参加形態としては、コミュニティメンバーとエキスパートメンバーの…

REACHのもとでナノ材料をどう分類するか。

欧州のREACHでは昨年12月に予備登録が終了したので、次は、物質ごとにSIEF(物質情報交換フォーラム)を形成し、有害性情報を収集していくことになる。米国TSCAと同様、REACHでもカーボンナノチューブやフラーレンは別物質扱いではあるものの、ナノ材料の定…

ナノテクノロジーの意味は欧米と日本で異なる。

欧米ではナノテクノロジーは(当然であるが)新興技術の1つと捉えられている。だから、iPS細胞やジオエンジニアリングなんかと同じように、一般人の知名度は低いし、新興技術であるがために不確実性も多く、懐疑的な態度をとる人たちも多くいる。これは、新…

"Safenano"はIOMのベンチャーだった。

いまシアトルでISOの会議に参加中のRob Aitkin氏がトップのSafenanoはウェブサイトで提供しているニュースの更新も多く、有用な情報源なのだけど実態はよく知らなかった。最近ちょっと調べてみて、こう書かれていることに気づいた。 Safenanoイニシアティブ…

Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

全部ちゃんと読んでるんだけど、久しぶりの追っかけ。 5月21日は、ナノテク安全性研究の資金の話。 NIOSHのリスク研究予算が500万ドル新たに増えたとのこと。オバマ政権効果かもしれない。もともと700万ドルあったので合計1200万ドルになる。さらに、Maynard…

ナノリスク関連イベントのまとめ

6月16〜17日、Nanotechnology Governance Compared University of Viennaで開催される国際ワークショップ。主催はウィーン大学のLife Science Governance (LSG) Research Platformという組織。最初の基調講演にSheila Jasanoff氏。 6月22日、2nd Internation…

EuroNanoForum2009に行ってきた。

近くまで来たのでついでにプラハで開催されていたEuroNanoForum2009に行ってきた。最初はナノテク2009のような展示会かと勝手に思っていたが、講演中心のイベントだった(プログラム見たらすぐに分かるんだけどね)。それも、4日間のうちの3日目からの参加。…

EPAがTSCA section 4を発動予定か?

EPAからの5月11日付けの通知。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の健康影響を把握するために、TSCAのsection 4(a)の試験ルールが必要かもしれないという内容。Section 4(a)というのは、化学物質の製造業者と加工業者に,当該化学物質の健康や環境への影響に…

FP7の新プロジェクト"ENPRA"がスタート

欧州のFramework 7の新規研究プロジェクトである"ENPRA"(Engineered NanoParticle Risk Assessment)がスタート(リンク)。予算は3年半で370万ユーロ。IOM(Institute of Occupational Mediciene)のDr. Lang Tranがリーダー。欧州15機関、米国6機関が参加。…

ナノリスク関連イベントのまとめ

ここに挙げなかったものも含めてドイツでの開催モノがやたら多い印象。 4月17日、2009 Working Conference on Nanotech Regulatory Policy カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)で開催。主催は、California NanoSystems Institute、UC CEIN、UCLA Sch…

Lux Researchによる新興技術企業評価手法

"Lux Innovation Grid"はLux Researchが開発した新規技術に参入した企業の評価ツール。技術面、ビジネス面、成熟度の3軸で評価。その結果を、M&A、ライセンス供与、パートナーシップ、投資といった観点から判断できる。最近、ナノマテリアルに適用した報告書…

決議案が本議会でも可決。

3月31日に欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会で採択された「ナノマテリアルの規制的側面に関する欧州議会決議に向けての提案」(リンク)が、4月24日、本議会で圧倒的多数の賛成で採択された(nanowerk)。賛成391に対して反対3票のみ(4票は欠席)。…

「ぷるっぷるマスク」のナノ訴求

2008年の前半あたりからナノ訴求する化粧品がめっきり少なくなってきた中で、久しぶりのナノ訴求。「はるな愛オススメぷるっぷるマスク」の成分に「ナノ金」が挙げられていて、amazonのページで見れる製品の裏側には次のような記述がある。 マスクには、ナノ…